ドイツの幼稚園でPraktikum(実習)してみた話

海外

ドイツの幼稚園でErzieher(教育者)のAusbildung(職業訓練)に向けて、Praktikum(実習)を計5週間してきた体験談をお話しします!  
これからドイツでAusbildungを考えている方や、キャリアチェンジを考えている方達に参考になれば良いと思います。
Praktikumの流れを申し込みから詳しく説明します!

Praktikumとはそもそも何なのでしょうか?
企業などで実習をするというのは具体的にどんな感じなのかイメージも湧かず、私にとって実習は正体不明の謎キャラでした。
キャリアチェンジをしたいが何の仕事がしたいのかわからないと悩んでいた時にドイツ人の友人に相談したところ、Praktikumをやってみたらいいよ!
とお勧めされました。

Praktikumは実際に企業などで働いてみて、その仕事の流れや実際はどんな作業をしているのか?
仕事を教えてもらいながら自分にその仕事が合っているのか?
自分はその仕事が本当にやりたいのか?
自分に合った仕事を知るために職業体験させてもらえるというものでした。

基本的にPraktikumは無給です。時間は要相談ですが約1日6−8時間、週5日間、期間は2週間〜3ヶ月とそれぞれの都合に合わせて決める事ができます。
一部会社によってはPraktikum期間が明確に定められているところもあるようです。

そもそも一体どこでPraktikumができるのか、ドイツ中の全ての職場で出来るのか?
いや、そんなことあるか?と疑問だらけの中、実習ができる幼稚園探しを始めました。

ドイツ人に相談したところ、どうやら自分が気になる企業や幼稚園に直接メールでコンタクトを取るというものでした。
基本的に履歴書とカバーレターを同封して、Praktikumがやりたいです!という旨を送ります。

私は最初6〜7件の幼稚園に連絡を取りましたが、返信をくれたのはその中の1つの幼稚園だけでした。さらに自分がメールを送ったことを忘れた頃に時差で返信がくる場合が多かったです。
こういう時に日本なら無視はまずないだろうし、返信も速攻でくるのってすごい事だったんだな、、、と感動します。笑

返信が返ってきたらそこで、面接の日時を取り決めます。
面接ではなぜこの職業で実習をしてみたいのか?期間や時間はどうするか?等をお話します。

緊張で震えが止まらない中、返信をくれた最初の幼稚園に面接に行きました。
そしてそこでErweitertes Führungszeugnisという、いわゆるこれまでに犯罪歴が無いという事を正式に示す書類が必要な事が発覚しました。
”幼稚園や教育系の現場でPraktikumをしたい場合は必ず必要になるからね。” と園長先生に親切に教えてもらい、その証明書を提出してからでないと実習もスタートする事ができないと言われました。

その書類発行の際に提出できる、『ここの幼稚園で実習をするためにErweitertes Führungszeugnisが必要です』のような一筆が書かれた紙を書いてくださったので、帰宅後園長先生に渡された紙と共にオンラインで証明書の発行をしました。
最終的に申請をしてから自宅に証明書が届くまでに3週間ほどかかりました。

そしてその後はその幼稚園の夏休みが始まったりでタイミングが合わなくなってしまい、実習は出来ず仕舞いでした。
このErweitertes Führungszeugnisは後に必ず必要になる書類だったので、園長先生教えてくれてありがとう!!ダンケ!!!
という感じです。

ここでは働くメンバー全員勢揃い(4人)による面接で背筋がピーーッン!!!!!!!!!!!!!!となったのを覚えています。笑
同じくなぜこの仕事で実習がしたいのか、期間はどれくらいが希望なのか?というお話をして、いざPraktikumを3週間やらせてもらえることになりました!

ここの面接の時点でまだ申請したErweitertes Führungszeugnisは手元に届いていなかったのですが、ここの幼稚園では届き次第提出してね。という事でひとまず開始させてもらえることになりました!

※最終的に開始日の前日とかに証明書が届いて初日に提出する事ができました。

この頃にはようやく面接慣れをしてきました。
ここでも面接の内容はほぼ同じです。自己紹介、志望動機、期間についてお話をしてここでは2週間の実習をやらせてもらう事になりました。

まず一番最初に驚いたことは、朝食を食べるところから始まる事でした。
これは以前ドイツ語学習の際に読んだ文章ですが、出勤前に朝時間がない中子供を幼稚園に送り出す大人たち。向かう車の中でクッキーやチョコレートやパンや何か簡単なものを与えている事により、子供たちの健康や栄養バランスが悪くなりそれが後に発育にも影響してくるという事で、朝食も園で用意するという流れになったそうです。
そしてそれが今はもう主流になっているのか? 実習した2つの幼稚園はどちらも朝食を園でみんなでとっていました。

その後は”朝の会”のような感じで輪になり歌を歌ったりした後、天気が良ければ公園へ行って遊ぶ。
昼食の時間に戻り食事をした後はチルタイム。小さい年齢の子はお昼寝。そして遊んでいたら15時頃からお迎えの時間が始まるという流れでした。

私は日本で生まれ育ったので、自分が受けてきた教育やこういう時は謝る。こういう時はこうする。みたいな小さい頃に教えられた感覚がそれとなく残っているのですが、その感覚のまま向き合おうとするとこちらの教育はまた違いがあったりして、自分の中の常識が覆される瞬間が実習中いくつもありました。
ドイツに引っ越してきてから、一番大きなカルチャーショック体験だったと思います。

それぞれの幼稚園で教員や子供たちの様子はさまざまで、園によって色んな特色があるんだという発見も大きかったです。
そしてやはり実習中は毎日わからないことの連続で苦戦もしましたが、実際に働くことでより仕事に対するイメージが湧きやすかったり、わからないことが多い中で自分なりに試行錯誤をしたり考えているうちにだんだんこの仕事への興味は膨らんできました。


もしも実習の途中で全くつまらなくて、やりたくないと感じた場合には期間を満了していなくても辞退してもいいそうです。
むしろ嫌々期間終了まで続ける方が自分にも企業にも良くないからだそうです。
理屈は理解できるのですが、それをピシャリ!と言い切るドイツ人の友人を見て、ああこれがドイツだ、、と感じました。
私はドイツのこういう白黒はっきりしてる感じが嫌いじゃないです。笑

実習開始時に私の言語レベルは語学学校でB2の授業を完了して、B2のTelcテストを受ける直前の状態でした。
特にPraktikumをやる上で指定される言語レベルはありません。
ただ面接や仕事中の言語はもちろんドイツ語環境なので、それに対応できる程度であれば実習は可能です。
今回やってみて感じたことはその職業の専門用語や頻出単語の難しさでした。
幼稚園での会話は普段の会話でのエピソードトークとはまた違った種類の日常会話という感じでした。
”手を繋ぐ” ”AちゃんがBちゃんをつねる” ”叩く” ”転んだ” “AちゃんがBちゃんを押した” “掘る” ”ジャングルジムから降りれない” など動詞は意外と知らないものばかりで最初は大変でした。

またキッズたちのボキャブラリーには、
”鼻くそ” “おなら” などの子ども特有の単語や動物の名前全般など、語学学校や日常では全く学んでこなかったニューワードの連続でした。

さらに盲点だったことは子供達が絵本を読んで欲しいと言って本を頻繁に持ってくることでした。
絵本を読むのは棒読みするわけにもいかず、またいかに感情を込めてより世界観に没入できるように読む事が大切かと思っていたのですが、そこにもやはり知らない単語が飛び出してきます。
でも真剣に聞いてくれている子供達の前でつまずいたり辞書で調べるわけにもいかず、そこは顔や体を使って全力で表現することで誤魔化してみたり、逆にわからない単語を子どもに素直に聞いて教えてもらいながらコミュニケーションを取ってみたり、試行錯誤の連続でした。

ドイツ語学習者向けにErzieherの専門用語や仕事内容に関する内容のも売られています。
私はこの本の存在に実習後に気づいたのですが、これから始めてみたい方にはぜひ実習前に少し専門知識を入れることをお勧めします。
そうすることでより安心して胸を張って実習に挑めると思います!

海外での新しい挑戦は難関ばかりですがその分大きな収穫もあります。
Praktikumに興味がある方、ひとまず飛び込んで体験してみてください!
そこには新たな世界が待っています〜☆

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