英語もドイツ語も話せない渡独3ヶ月目の私の指に突如発生した爪周囲炎。
1人で病院を彷徨い探し、やっと辿り着いた外科病院で膿摘出手術をしてもらうまでのお話です。
布団に指が触れただけで、激痛!
ある日の朝、目が覚めたと同時に右手薬指の違和感に気づく。なんか痛いぞ…….?
でもまだその時はたいして気にしていなかった。でも翌日の朝また目が覚めると、
あれ?めちゃくちゃ痛いぞ……….?
布団に軽く指が触れただけで、激痛が走りました!おかしいと気付き指を見てみると、なんと赤くぷっくりと腫れている!
気になったことは何でも検索したい私はすぐさま調べると、爪周囲炎だという事が判明しました。
以前にも一度経験したことがあり、その時も日本の病院で切開してもらった記憶があったので私は青ざめました。
なぜかというと当時まだ渡独3ヶ月目で、英語もドイツ語も話せなかった私にとって病院という場所はあまりにもハードルが高すぎたからです。
全く言語が話せない私にとって日本語が通じないドイツ人のお医者様と1対1でお話して、自分の症状を伝えて、相手の言葉を理解するなんて想像するだけで恐怖でしかありませんでした。
だから次の日本一時帰国までは病院に行かなくて済むように、健康には最善の注意を払っていたのです。それなのに…..
原因はなんと、ささくれ!
思い返してみれば、前回日本で同じことが起こった時も今回も原因は指のささくれをめくった事でした。
指のささくれをめくり、そこからばい菌が入って炎症を起こし膿が溜まるという何とも盲点かつ、まさかの事態でした。
病院に行きたくなさすぎて、放置していれば何とかならないか、もしくは自力で治す事ができないのか、知恵を絞りました。
だけど放置していると余計に膿が広がり最悪の場合、指を切断という可能性もあるという情報を入手し私は震えあがり、とうとう病院に行く決心をしました。
どこの病院に行けば良いのか?
日本の病院というと、予約をしていなくても当日行って少し待てば診察してもらえます。
だけどここドイツでは違うのです。もちろん救急病院は存在していますが、基本的にはハウスドクターがそれぞれの家庭にあり、ハウスドクターを通じて専門の病院に行くという流れ。
そしてさらに基本的に予約が必須です。またその予約も最短で1-2ヶ月先しか取れないというのが通常モード。
その間に私の指が…..!!という恐怖と闘いながら、ドイツの病院事情を必死にネットで探しました。
最初に辿り着いた病院
どうしても日本人医師、もしくは日本語が通じる病院に行きたかった私は耳鼻咽喉病院を見つけました。
ベルリンにある日本人医師のいる病院は耳鼻咽喉科と歯医者があるという情報は何となくキャッチしていました。指が痛いのに耳鼻科に行くという、不思議な現象でしたがそんなことを気にしている余裕がないほど焦っていて、そしてさらにそこは予約なしで大丈夫な病院だったのでその耳鼻科病院にすぐさま向かいました。
*それがこの病院です。
*この病院は日本人医師とドイツ人医師の2人で、2023年1月当時日本人医師がいる曜日は月曜と水曜でした。
受付のお姉さんはドイツ人女性でした。受付では日本語は通じなくて、そこはもう何とか乗り切るしかありませんでした。
お姉さん「今日は初診ですか?どんな症状ですか?鼻?喉?耳?風邪?」
私「初診です。あの……..指が痛いんです…….。」
お姉さん「…?指….?笑」
という空気感が流れました。それはそうですよね。耳鼻科ですもの。
でもその空気に屈している場合ではありません。私の薬指の命運がかかっている。
そしてそのまま10分程待って私の順番が来ました。日本人の女医さんでホッと一安心して状況を説明しました。
そしたら、腫れて膿んでるね。これは切開して膿を出さないといけないから外科の病院に行ってください。と言われ、化膿止めの塗り薬をもらいました。
外科なんて日本でも行ったことない。響きだけで怖い。ましてやここはドイツ。言葉も通じない場所で外科デビューだと…??これはやばい。かなりやばいと、目の前が真っ暗になりました。
外科ってどこですか?
外科ってドイツ語でなんて言うんですか?
どうやって外科を探したらいいんですか?
と、質問詰めしたら私の家の近所の外科病院を教えてくれて、紹介状を書いてもらえました。
外科:die Chirurgie
第2の病院
紹介された近所の外科病院にマップを見ながら向かったのですが、無いんです。
その病院が存在していませんでした。たくさん探したけど絶対にその住所に無いし、名前で検索しても何も出てこないんです。HPも無くて、おそらくすでに廃業されている感じでした。
すでに夕方になっていて病院の閉まる時間が迫る中、私の薬指はものすごいスピードでぐんぐんと腫れていきます。
絶対に今日中にどこかの病院に行かなきゃ!と焦っていた私はネットで見つけた近くの外科病院に向かいました。
第3の病院
そして見つけた病院にバスに乗って向かいました。
でも到着した病院は何かが違う…..。違う、絶対ここじゃないと本能で分かりながらもどうしようもなかった私は中に入りました。
受付に誰も人がいない、そして周りには車椅子や点滴をしている方々、明らかに入院をされている方々でした。
そうだ、ここは入院をする病院で、絶対に今の私が来るところではないと分かりながらも受付のベルを押しました。
するとやっと人が来てくれて、私は指が痛いんだ!と訴えて、もらった紹介状を見せました。すると、
あっちだ。と指をさされたのですが、あっちは絶対にその先の雰囲気が違う気がするんです。
そして受付の方のドイツ語ももちろん分かりません。
「わからない」と言うことすら出来ず、何となく言われた方向に向かったけど、絶対にここじゃないと思って途方にくれていたら、部屋のドアが少し空いていて中に人がいる部屋を発見しました。
そしてその部屋に入り、私はまた紹介状を見せて指が痛いんだと訴えました。
するとその女性は私の状況を察してくれて、ここはKrankenhausなの。
外科に行きたいならここに行きなさい。とまた別の病院を紹介してくれました。
そして丁寧に病院の地図や詳細をプリントアウトして渡してくれました。
不安で押しつぶされそうだったあの時、勝手に部屋に入ってきた私に丁寧に対応してくれたあの女性の親切は今でも忘れません。
*das Krankenhaus:入院をするような病院
*die Praxis:診療所、外来
この出来事をきっかけにKrankenhausとPraxisというドイツの病院形態を学びました。
第4の病院
その日はもう夜になってしまいどこも閉まっていたので、プリントアウトしてもらった紙を握りしめて家に帰りました。そして家でその病院の位置を検索したけど、うーん……..遠い!!!
完全に市街地から外れた場所にある病院でした。
明日も朝から語学学校だ。学校は絶対に休みたくない。でも指がやばい。一刻も早くしなければ!と焦り、また別の市内の外科を探しました。
そして良い感じの場所を見つけて予約を頑張っていたら、緊急用の予約枠があり翌日に予約を取ることができました!
*ちなみにその外科病院はここです。清潔感があって良い感じでした。
またささくれをめくってしまったらここに行こうと思っています!
翌日語学学校を少し早退して病院に向かいました。先生やクラスメイトに見送られながら。
そして行く途中に自分の症状や訴えたいことを翻訳アプリで検索してフレーズを暗記して挑みました。
そしていよいよドイツ人医師による診察が始まりました。
暗記したドイツ語フレーズを一生懸命言って、向こうのアンサーは何一つ聞き取れ無いので翻訳アプリに向かって喋ってもらいました。
そして私はその場で局所麻酔をかけて切開して膿を摘出するという手術の同意書にサインしました。
いよいよプチ手術開始
準備が整い私は靴を履き替えさせられ、頭に帽子を被せられ処置室のような場所に案内されベッドに横たわりました。看護師さんが1人とお医者さんが1人と私の3人だけの空間。
私は靴を脱いで手術の時の帽子を被せられているのに、看護師さんとお医者さんは帽子を被ることもなくありのままの姿でいることが、何よりも面白かったのを覚えています。
そして薬指に局所麻酔の注射1本目。第二関節あたりに刺されてすごく痛かったです。
でもその後様子を見たが肝心の幹部に麻酔が効いていないということで、次は第一関節あたりに2本目の麻酔注射。めちゃくちゃ痛かったです。
そのあとは麻酔がかかったことを確認して、切開して膿を出して無事プチ手術が終了しました。
指の感覚は全くなかったけど、終わった後の様子を見たら血まみれのガーゼがたくさんあって、
ひいいいいいい!!!となりました。
また数日後にガーゼを取り替えるから来てね♡と言うことで、包帯グルグルにされ無事帰宅。
今こうやって振り返ればとても愉快な出来事ですが、当時の私のこの3日間は生きた心地がしないほどの3日間でした。この時外国で暮らすことの洗礼を受けた気がします。
局所麻酔のちょっとした後遺症
1週間ちょっとで包帯も取れて日常を取り戻した矢先、今度は麻酔注射を打った部分がピリピリと痛いのです。ちょっとコップを持ったりするだけで薬指の神経がピリピリとするんです。
これは…….!!!!!!医療ミス?!となりまたもやネットで検索をしました。
でも該当するようなものがなかなか見つけれず、でも時間が経てば治ると信じ1週間待ったのですが一向に治る気配はなく、不安に駆られてまた同じ病院に予約を取って向かいました。
そうしたら麻酔注射のあとはよくあることだそうで、ほかっておけば大丈夫とのことでした。
それで安心して帰宅。
今はもうどの指にその非常事態が起こったのかも忘れてしまうほど元気に、そして神経ピリピリ後遺症もどこかへ消え去り、ピンピンと薬指でキーボードを叩いています♡
最後に
当時ドイツで爪周囲炎になった場合の対処法なんて、なかなかネットの記事で出てきませんでした。
ましてやある程度語学が堪能な方なら、そうなったとしても私ほどパニックにならずに、きっと何とか対処できたのであろうと思います。
とてもニッチなケースだけど、もしも当時の私と同じような状況で困っている人がこの記事に辿り着いたならそのお役に立てたら嬉しいと思います!
みんなの指が健やかでありますように!!!
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